医療法人三成会 水の都記念病院 (財)日本医療機能評価機構(3rdG:Ver1.1)

ヘルニア専門外来について

「そけいヘルニア(脱腸)は子供の病気」というイメージをもたれがちですが、むしろ体の組織が衰えてくる中高年層に多い病気です。子供の先天的なヘルニアは成長にともなって自然に治癒する場合もありますが、大人のヘルニアの場合、筋膜は投薬、運動では強化できないため手術でしか治療できません。従来の手術は組織を縫い合わせるもので、再発や痛みも多いなどの問題点がありました。しかし、最近の手術ではメッシュと言われる人工物を使用することにより、それらの問題点が大きく改善され、早期の社会復帰が可能になりました。当院ではソケイヘルニアの治療に積極的に取り組んでいます。特に腹腔鏡を用いてソケイヘルニアを修復するTAPP法を標準術式として、患者様の満足度の高い治療を行うことで、地域医療に貢献していきたいと考えております。もしヘルニアでお悩みの方がいらっしゃいましたら、余り悩まずに当院のヘルニア外来を受診することをお勧めします。

そけいヘルニアとは

そけいヘルニアは体内で内臓を保護する「筋膜」がゆるみ、その穴から腹膜や腸などが移動してしまう状態を指します。最初は痛みがなく、入浴中やくしゃみをした時など腹部に力がかかった際に、下腹部周辺で膨らむ部分を発見することによって気づくケースも多いようです。脚の付け根に押すと戻る膨らみを見つけたり引っ張られるような違和感を感じたりした場合、そけいヘルニアを疑うことが良いと思います。

腹膜に相当するイメージ

タイヤの外側の堅いゴムが筋膜、内側の柔らかいゴムが
腹膜に相当するイメージです

ソケイヘルニアに対する当院の取り組みを毎日新聞社に取材して頂き、2014年2月14日の毎日新聞徳島版に掲載されました。

治療(手術)方法

そけいヘルニアは「筋膜」の緩みによって発生する病気であり、その「筋膜」は投薬、運動では強化できないため、手術以外に有効な治療方法はありません。当院ではソケイヘルニアの標準治療術式として、腹腔鏡下ソケイヘルニア修復術を行っています。全国的にも有名なTAPP法の第一人者である大阪高槻病院の植野先生の御協力も得て、TAPP法の導入を試みました。症例に応じて、また患者様の御要望に応じてこれらの手術方法を使い分けることで、患者様のニーズに応えられるように努力しています。

腹腔鏡下ソケイヘルニア修復術とは

腹腔鏡下ソケイヘルニア修復術(TAPP法:transabdominal preperitoneal approach)とは、腹腔鏡という細い内視鏡を腹腔内に挿入し、内側からそけい部のヘルニアが起こりえるすべての部位をメッシュシートで補強する方法です。当院ではTAPP法をそけいヘルニア手術の標準術式としています。この方法は他の手術方法に比べて、慢性疼痛の発症が少なく、再発率も低い理想の手術と言われています。

腹腔鏡下手術の利点

  • ・傷あとが小さく痛みが少ない。(開腹手術では5cm程度)
  • ・入院期間が短い。(1日から3日程度)
  • ・日常生活に早く戻れる
  • ・ヘルニア発生部位が左右の2ケ所にあっても同時に治療できる。
  • ・お腹の中(腹腔内)を観察しながら手術を行うので、症状が出ていない小さなヘルニア の見落としが少ない。

TAPP法手術手技

  1. 全身麻酔を行い、下図に示す様に臍部に5mm、右側腹部に5mm、左側腹部に3㎜
    の小さな切開を加えます。

    手術後1週間の腹部の画像

    手術後1週間の腹部画像です。
    ほとんど傷はわかりません。
    (写真は患者様の許可を得て掲載しています)

  2. 腹腔鏡を臍部から挿入し、図に示す様にテレビモニターで腹腔内を観察しながら手術を開始します。

    実際の手術の様子
  3. 左外ソケイヘルニアの腹腔鏡から見た様子です。写真中央にくぼんでいる様に見えるところに小腸が入り込んで脱腸症状を引き起こしていました。

    左外ソケイヘルニアの腹腔鏡から見た様子
  4. 腹膜を切離し、膀胱前腔まで剥離した状態です。ソケイ部を構成する靱帯や血管、筋膜が露出されています。

    腹膜を切離し、膀胱前腔まで剥離した状態
  5. 腹膜が十分に剥離できたら、メッシュシートを腹膜の内側に展開します。タッカーという特殊な器具を用いてメッシュシートを腹壁に固定します。

    メッシュシートを腹壁に固定している様子
  6. 腹膜を縫合します。縫合手技もすべて内視鏡下に行います。手術終了図です。手術前のような腹膜の穴が消失しています。

    腹膜を縫合した手術終了図

ダイレクトクーゲル法とは

ダイレクトクーゲル法はヘルニアの穴を筋膜の内側から塞ぐという合理的な手術法です。
メッシュシートはヘルニアが起こりうる全ての場所を同時に覆うことが出来るので再発防止効果も期待できます。また手術時間も約30 ~ 60分と短く済みます。※健康保険が適用されます。

メッシュシートでふさぐヘルニア手術の画像や実際の手術写真

メッシュプラグ法とは

メッシュプラグ法はヘルニアの穴をメッシュで出来たプラグで塞ぎ、さらにメッシュシートでヘルニアが起こりうる場所を前方から覆い、脆弱なそけい管後壁を補強します。この方法も手術時間も約30~60分と短く済みます。※健康保険が適用されます。

メッシュプラグ法の手術写真や画像

当院院長より

院長写真

ヘルニアは下腹部の症状のため『恥ずかしいから』と受診をためらわれる方もいらっしゃいますが、誰でもなる可能性があると認識し、脚の付け根に膨らみを見つけたり、ツッパリを感じられたらすぐに受診されることをお薦めします。

取材記録

当院のヘルニア治療への取り組みを朝日新聞が取り上げてくれました。

ヘルニア専門外来 診療案内

午前/午後

統計資料

平成29年 年間手術件数

平成28年 年間手術件数

平成27年 年間手術件数

平成26年 年間手術件数

平成25年 年間手術件数